エリアトラウトフィッシング入門 その3
コロナウィルスの蔓延を防ぐためにソーシャルを意識した行動が求められるようになり、マスクの着用や消毒、人と人の距離感など、予防がすっかり常識化していますね。社会生活におけるマナーやモラルは過去より当たり前のことではあったのですが、withコロナウィルスという時代の中で、その必要性がより明確になってきたと感じます。発端は嬉しくありませんが、ひとり一人がマナーやモラルを意識する行動は素晴らしいと思います。
さて今回はエリアトラウトフィッシングのマナーとモラル、そして管理釣り場のルールについてご説明します。
エリアトラウトフィッシングのマナーとモラル
管理釣り場は人が集まって釣りを愉しむ場所であるため、固有のマナーとモラルがあります。
見ず知らずの人たちがお互いに愉しい一日を過ごすために必要な配慮なのですね。それでは羅列して記載していきます。
1.遊んでくれる魚たちに愛情をもつ
釣りにおいては、魚と人間は対等の立場です。養殖された魚ですが、命ある生き物であることは人間と変わりません。
キャッチアンドリリースをする場合には、「魚を傷つけない」、「魚が弱ったら回復するまで待つ」など、魚の命を尊ぶ行動を意識しましょう。
管理釣り場では「魚体を痛めにくいラバーネット」や「魚に触れずに針を外すことができるリリーサー」の使用が常識化しています。
リリーサーは慣れないとなかなか上手くは使えないと思いますが、最低でもラバーネットを使用して、「釣った魚を素手でつかまない」、「魚を陸にあげない」の2点は守るようにしましょう。ラバーネットは貸し出してくれる管理釣り場が多いです。
魚の体温に比べて人間の手のひらは温かすぎるため、素手で触ると魚は火傷を負ってしまいます。また陸にあげらることも同様で、乾いた砂利や土は魚体を痛めます。これらの行為をされた魚は、リリースされたとしても病気になってしまうか、命を落としてしまう確率が非常に高いそうです。
釣りは魚がいないと出来ません。この素晴らしい遊びの相手である魚に、愛情を持ちましょう。
2.周囲の人たちをリスペクトする
多くの管理釣り場は3mくらいの間隔で並んで釣りをします。
アングラーのレベルは様々で上級者から初心者まで、また様々な釣り方を愉しむ人たちが平等に釣り場に立ちます。
周囲の人に迷惑をかけないように意識をしなければならないのは当たり前なのですが、初心者のうちはルアーがどこに飛ぶかコントロールが出来ません。仕方のないことですよね。もし隣の人の前にルアーが飛んでしまったら、「スミマセン!」と一言かけてください。そして声を掛けられた人は眼の前にルアーが飛んできても大目に見てあげてください。「魚を釣りたい」という目的意識は共通の同じ仲間な訳ですから、お互いを尊重して気持ちよく釣りをする環境をつくりましょう。会話すると「釣れているルアー」や「調子のいいカラー」を教えてもらえれるかも知れませんし、得はあっても損はないです。
ちょっとした作法ですが、キャストするときは周囲の人の様子を見て少しタイミングをずらすと良いです。ラインが重なったりするトラブルを避けることができます。また、混雑した状況でのクロスキャストは原則NGで、隣の人の前にはキャストしないのがマナーなのですが、風に流されてしまう場合もあります。こういう不可抗力的なクロスキャストも、キャストするタイミングをずらすことで隣の人への迷惑を軽減することが出来ます。
上記の2点以外は、一般常識的な行動を取れば問題はないと思います。
「魚への愛情」と「周囲の人へのリスペクト」、意識して気持ちよく釣りを愉しみましょう。
管理釣り場のルール
管理釣り場には固有のルールがあります。
・ バーブレスフックの使用
・ ラバーネットの使用
・ ワームやラバージグ等の使用禁止
・ 使用できるルアーのサイズ制限
・ エリア区分やルアー&フライの優先制限 、、、、など
ルールは管理釣り場さんによって異なりますので、事前に確認する必要があります。エリアトラウトフィッシング用のルアーはバーブレスフックが標準になっているので心配はないのですが、使用するルアーの大きさの制限はエリア毎に異なり見落としやすいので注意しましょう。
「ルールを守る」というのは当たり前のことなので、ここでは「なぜそのルールが生まれたか」に着目してみます。
一つは「魚への愛情」です。管理釣り場さんにとって放流されている魚たちは大切な資産になります。例えばバーブレスフックの義務付けは針のかえしによる魚へのダメージを減らす効果に繋がります。またラバーネットの使用も魚体へのダメージを低減させてくれます。ワームは千切れて池の中に残されてしまうと魚はそれを食べるのですが、ワームは胃の中で消化されることはないため食べた魚は弱りやがて死んでしまいます。「魚への愛情」をルールとすることで、資産となる魚たちは健康で元気でいてくれます。これは魚のストック量の増加に繋がり、私たちアングラーを愉しませてくれる源になります。
二つ目は「安全性」です。針のかえしは刺さると抜けません。大きな、あるいは重いルアーは誤って人や物にぶつかったとき危害物になってしまいます。自分の身を守るため、そして周囲の人に危険な思いをさせないために「安全性」を考慮したルールが定められています。
「ルールだから守る」というのは当たり前なのですが、そのルールが生まれた背景を知ることは管理釣り場さんごとの考え方を類推することにも繋がります。「なぜそのルールが生まれたか」ということに着目すれば、エリアトラウトフィッシングについての理解はより深まるのでは無いでしょうか。
まとめ
人間は我儘な生き物だと思うのです。特に釣りという遊びは「釣れたら嬉しい」だから「釣りたい」という本性を目覚めさせます。それは愉しみの源でもあるのですが、時にそれはルールやモラル、マナーを軽視する行動に繋がりかねません。愉しんでいるのは個人ですが、管理釣り場にはたくさんのアングラーが集まっていることを忘れずに、周囲の人たち、そして魚たちをリスペクトして気持ちの良い一日を過ごすようにしましょう。