「 匙 – saji – 」は泳ぎ方とウェイトで4タイプの仕様設定としています。
この Tips では、それぞれの仕様設定の狙いについてまとめます。

匙 – saji –強 – gou –0.9g (ブランク厚 0.8mm:実測重量 0.90g) 泳ぎの強いタイプ。「匙 – saji -」のベースモデル。
強 – gou –0.7g (ブランク厚 0.6mm:実測重量 0.70g) 泳ぎの強いタイプ。「強 – gou – 0.9g」よりスローに攻めたいときに。
弱 – jak –0.8g (ブランク厚 0.7mm:実測重量 0.79g) 泳ぎの弱いタイプ。「強 – gou – 」と泳ぎの違いでローテーション。
弱 – jak –0.6g (ブランク厚 0.5mm:実測重量 0.58g) 泳ぎの弱いタイプ。「弱 – jak – 0.8g」よりスローに攻めたいときに。
1.匙 強 – saji gou –


saji のベースモデルです。
開発コンセプトは「大きくワイドな振り子運動と安定性の両立」、「キャスタビリティが良く扱いやすい特性」です。
きつめのベンドカーブと深いカップ形状によって大きくワイドな振り子運動を与え、水流を受ける有効表面積を小さめの設計とすることで低速から高速まで安定して泳ぐようにデザインしました。
泳ぎのタイプは「強いウォブリング」で、スナップリングを装着する前穴を中心にして左右に大きく泳ぎます。
ブランク板厚で 0.8mm と 0.6mm の2タイプがあり、表に示した実測重量はVANFOOKの #0 リングと SP21ZERO #10 フックとの組み合わせでの塗装を除いた値になります。

0.9g(板厚 0.8mm)は、振り子運動の最大ピッチ周波数が 5.14Hz @speed 37cm/sec 。低速域から強く安定して泳ぎ、振り子運動のピッチはスイムスピードに比例して速くなるタイプのため、レンジとスピードをコントロールしやすい特性に仕上げてあります。
0.7g(板厚 0.6mm)は、振り子運動の最大ピッチ周波数が 5.30Hz @speed 36cm/sec 。板厚 0.8mm の泳ぎを継承しつつ、より低速域で最大の動きとなるようにチューニングしてあります。
30cm/sec 以下の極低速域になると、スプーンは揚力を得ることが難しくなるため泳ぎが不安定になるのですが、この2タイプはスピードに応じてピッチ周波数を変化させつつ、安定してきれいな立ち泳ぎをしてくれます。

2.匙 弱 – saji jak –


saji のチューニングモデルです。
開発コンセプトは「弱い振り子運動と高い揚力」、「キャスタビリティが良く表層を狙いやすい特性」です。
gou と同一素材形状で、ベンドカーブとカップ形状を見直して特性をチューニングしています。振り子運動をナローにすると共に、水流を受ける表面積を最大限にして揚力を稼ぐデザインとしました。
スプーンのトータルバランスをあえて崩して、表層域の早めのリトリーブのアピール性と扱いやすさを求めています。泳ぎのタイプは「ピッチの速いローリング」で、スプーンの重心点を回転中心にして「身悶えるように泳ぐ」ため、水中で gou が拾うことの出来なかったトラウトにアピールしてくれます。
ブランク板厚で 0.7mm と 0.5mm の2タイプがあり、表に示した実測重量は板厚 0.7mm はVANFOOKの #0 リングと SP21ZERO #10 フック、板厚 0.5mm はVANFOOKの #00 リングと SP11ZERO #10 フックの組み合わせでの塗装を除いた値になります。

0.8g(板厚 0.7mm)は、振り子運動の最大ピッチ周波数が 5.60Hz @speed 39cm/sec 。振り子運動のピッチはスイムスピードに比例して速くなるタイプで、30cm/sec 以上の速度域から「身悶えるロール挙動」を示すようになります。キャスタビリティが良いため「ちょっと沖の表層を速めにトレースする」というような使い方に適しています。
0.6g(板厚 0.5mm)は、振り子運動の最大ピッチ周波数が 5.34Hz @speed 38cm/sec 。板厚 0.7mm の泳ぎを継承しつつ、より表層をスローに狙えるようにチューニングしてあります。ピッチ周波数が板厚 0.7mm より低いのはオートマチックにフラツキが入るためで、魚にバイトチャンスを与える特性を持っています。ブランクとリングとフックの重量バランスを最適化するため、リングとフックを専用仕様としています。
2タイプともフォール時にサイドスライドの挙動を示し、30cm/sec以下のスピード域ではフラツキが強まる傾向になります。

3.テストデータ

リトリーブスピード毎のピッチ周波数データです。
saji は 35 ~ 40 cm/sec のリトリーブスピードにピッチのピークが来るように泳ぎを設定しています。


※ 振り子運動のピッチ周波数データは複数の計測データから線形近似して求めた平均値となります。実際には一定の幅でバラツキを持っています。