開発記 カラーロジック「その2」

僕の考えるカラーロジックについて、前回の引き続きのお話です。

「色温度」と「光の波長」について、前回ご説明しました。
今回はもう一つの要因である「水質」について僕の考えをまとめます。


魚たちは水中に暮らしている訳ですが、その環境は釣り場さんや季節、天候などによって変化すると思います。

一つは降り注ぐ光の状況。これば前回説明した通りですが、もう一つの要因「水質」は光を通すフィルターとして魚たちに影響を与えると考えています。

僕は様々な論文をネットで調べて魚の特性を勉強してきたのですが、その中で特に理解を促すことが出来たのは、東京大学の河村正二教授の論文やネットの情報でした。これを見た皆さんも是非ググって探してみてください。興味深い魚の色覚について、たくさんのことが書かれています。
(著作権等の課題が考えられるため、記事内容のリンクや画像の掲載は控えます)

そんな記事の中から見つけたのが「水質と水深によって届く光の波長が変化する」という事実でした。
おおもとは1982年に発表されたアメリカの論文に記載されていた内容のようです。

具体的に書くと、
・透明度によって水中に透過できる光の波長や水深は異なる
・透明度が高い水質では短い光の波長が透過しやすく、深くまで届く
・植物プランクトンや動植物老廃物によって透明度が下がると、水中に透過しやすいのは波長の長い光となり、透過する水深は浅くなる

文章で伝わりますかね?(図があっても難解なのですが・・・)

僕の解釈で更に具体的に書くと、
・透明度がめっちゃ高い水質では青系の色が透過しやすい(海の水が青く見えるのはこのため)
・植物プランクトンの多い水質では緑から黄色系の色が透過しやすい(湖の水が緑に見えるのはこのため)
・動植物老廃物が多い水質では赤系の色が透過しやすい(フレッシュな水の流入が少ない池などが茶色く見えるのはこのため)


釣り場によって水の色が異なるのは、これを読まれている皆さんも経験があろうかと思います。
その理由は水質によって透過しやすい光の波長が変化することが原因のようです。

僕はこの事実を知って、釣り場に行くと以下の二つのことを観察するようにしています。
① ポンドがどこまで深く見えるのか? → 透明度
② ポンドが何色に見えるのか? → 水質

ポンドの水深とも絡むのですが、まずは水がどのくらいクリアなのかを確認します。
ボトムまで見えるようなポンドであれば、僕たちの眼に映るのは水質の色ではなくて、クリアな水を通して見える底面の色になるはずです。
この場合は水の色はあまり考慮せずにクリアなポンドと判断してしまいます。

底が見えないような状況のポンドでは、水が何色に見えるのか確認します。
例えば加賀フィッシングエリアさんは全体に青が強く見えるのですが、このように青く見える場合には水質はクリアだろうと判断します。
そして、全体に黄色が強く感じられる水質の場合には、濁りが入っていると判断します。


そして具体的なカラーロジックなのですが、

上記のように判断した「水質」によって、予め僕は使用するカラーの波長の範囲を想定するようにしています。

水質のクリアな管理釣り場さんの場合には、短い波長の紫系から長い波長の赤紫系までの全体の範囲でローテーションするカラーを考える。
光が強いときは青や紫系のカラーまで使用し、光が弱まるにつれて緑系、黄系と変えていく。
この場合の中間色は黄系のカラーになります。

濁りが入っていると感じた場合には、短い波長の光は届きにくいと捉えて、短い波長側の上限を絞ります。
例えば、短い波長側は緑系までのカラーでローテーションを考える。
この場合の中間色は橙系のカラー、こげ茶とかも該当します。

こんな風に水質によって使うカラーの波長の範囲を決めて、光の状況を感じて使用するカラーを選ぶようにしています。
クリアな場合のカラーレンジは広く、濁りを感じた場合のカラーレンジは狭くなります。


もう一つ、選択肢があります。
色の濃淡です。

ベース色が同じ色で濃淡が変化する場合には、光の波長は変わらずに陰影が変化すると捉えています。
例えばピンクと茶色は同じ赤系の波長と捉える、が陰影は異なる、という風に。
濃淡にについては、濃いカラーの方がアピールが強く、薄い色は弱くなるようです。
なので、濁りが入っている場合や暗い状況ではアピールの強い濃いカラーを選び、アピールを落としたい状況では淡いカラーを選ぶようにしています。

また白と黒については、光の波長の概念から外れた無彩色なので、すべての色の要素を持ったカラーと考えています。


「色温度」「光の波長」「水質」、僕はこの3点を要因として考えて、それぞれを観察して使用するカラーを選択するようにしています。
もちろん過去の経験も大切にしていますが、放流やナイターなどの無い平常な状況においては、このカラーロジックでだいたいの答えを出せているように感じています。絶対とは言えないのは当然ですが・・・これを読まれた皆さんのご経験にも照らして頂ければと思います。

カラーロジック 「その2」はここまでです。
次回は放流とナイターのときの考え方についてお話をして、僕なりの考えを完結させたいと思います。

「 Feel, think, and fish. 」