開発記 カラーロジック「その3」

2回にわたってご説明してきた僕のカラーロジック。
「その3」では放流魚とナイターといった条件について考察してみます。

僕のカラーロジックのベースとなっているのは、「魚にとって認識しやすい色とは何か?」という考え方です。
ある程度、魚の活性が落ち着いた状況で力を発揮するロジックと考えていて、魚の活性が高い場合にはこのカラーロジックからちょっと外れた考え方が必要と思っています。その状況というのが放流やナイターというシチュエーションです。

放流魚は活性が高く、ナイターでは魚の警戒心が薄れる。
共に釣り易い状況になると思うのですが、このときのカラーロジックはそれぞれに異なるものと思います。


まずは放流魚の話から。

まず前提として、ここで論ずる放流魚の話は池に放たれた後に活性良くルアーを追ってくれる魚を対象とします。
放流しても水馴染みがうまくいかずに逆に低活性に陥ってしまうケースもあるので、そこは除外させてください。
あくまでも無邪気にルアーを追ってくれる放流魚についての考察です。

僕のカラーロジックで唱える「光の波長論」ですが、これは絶対というものではなくて「魚の活性」とセットになって成立すると思っています。
魚の活性が高ければ高いほど光の波長の影響は薄まり、刺激的で目立つカラーが効果的になります。

放流魚は池に放されるまでルアーを見たことがなく、故にどんなルアーにも興味を示します。
例えれば「新しもの好き」なのだと思います。
メッキのキラキラした目立つカラーから始まって、落ち着いたら裏黒の明滅系、更に落ち着いたら明滅色のトーンを落としていく。
そんな風にローテーションすることで、暫くは放流魚の気持ちを惹きつけることが出来ると思います。

トーナメンターの方たちはこういった放流魚の捉え方が上手だと感じます。
経験則や独自の考察によってカラーローテーションのパターンを組まれているのでしょうね。
なのでトーナメントになると僕のカラーロジックという考察は役には立たない可能性が高いと思いますので、悪しからず。

さてまとめると、放流魚のローテーションの肝は「目立つカラーのタイプを変える」と言えるでしょうか。
これに合わせて魚のレンジの変化を考慮する必要があると思うのですが、カラーロジックの話なのでレンジについては今回は割愛します。


放流魚を釣るのはとても楽しくて、何度経験しても興奮する時間なのですが、それも永遠には続きません。
何度も何度も眼の前をルアーが通過することで、魚の興味は薄れ、ルアーが通過することが普通の光景となり、魚は沈黙するようになります。
ある意味ではこの沈黙した状態というの平常の管理釣り場の姿であり、この状況で拠り所となるのが僕の考えているカラーロジックになります。

さて、次はナイターの話です。

色を認識できるのは光があるからで、光の弱い状況では僕のカラーロジックは機能しなくなります。
ですので、ナイターでは固有のカラーロジックがあると思っています。

魚は水中に暮らしています。
水中側から上空に向けて照らす光は存在しないため、水中の光は水面から降り注ぐ光のみであり、魚はこの光を受けて生活しています。


上の水中画像は GOPRO MAX の生画像なのでデフォルメされた世界になってしまっていますが、上空から光がさしているのが判ると思います。
夜、光は弱くなりますが水面と水底の明暗の差は明確です。

魚は自分よりも上方側のモノはシルエットで認知しやすく、下方にあるものは認識しにくいと思います。
が、夜でもボトムのルアーをアタックする魚はいるので、魚には下方のルアーも見えているはずです。

このことから、僕の考察ではナイターのカラーロジックは2種類あると思っています。

一つ目はルアーをシルエットとして捉えるカラーロジックで、魚よりも上方を通過するルアーは光の影として認識されるという考え方です。
ここで効果があるカラーは「ブラック」を筆頭にした濃色系のカラーです。
僕の経験では、「ブラック」はナイターの定番のカラーとなっています。

二つ目は弱い光で認識できるカラーロジックで、魚よりも下方にあるルアーを水底の暗さとのコントラストで認識される考え方です。
ここで効果あるカラーは「白」、「グロー」、「蛍光色」です。
「白」は水底とのコントラストで認識され、「グロー」は自発光の力、「蛍光色」は可視光の波長が減少しても紫外線域の光があることで視認性が上がる特性をもっています。
僕の経験では、この3色はナイターで効果を示す色で、特に「グロー」や「蛍光色」は定番のカラーとなっています。

ナイターで魚の警戒心が薄れているとはいえ、同じルアーを使っていると魚の反応は鈍くなってしまうので、上記のカラーをローテーションして魚の反応が継続するようにしています。ルアーの大きさも大切で、魚の反応が弱まるにつれて小さいサイズのルアーに変更していくことで、ナイトゲームを組み立てるようにしています。


さて、僕の考えるカラーロジックの話、如何だったでしょうか?
最後にお断りしておきますが、僕のカラーロジックは釣果を保証するものではありません。
釣れるか釣れないかは魚次第のところもありますし、僕のカラーロジックに沿わなくても釣れる魚はいます。
例えばサシ色という考え方がありますが、僕のカラーロジックの真反対のカラーを使用することも効果的と思いますので・・・。
僕のカラーロジックはあくまで「こういう考え方もあるよ」という思考の一助と捉えて頂き、ご活用願えればと思います。

経験は釣り人それぞれにあって、特にカラーは過去に釣れた知見をもとにルアーを揃えているアングラーが多いと思います。
かく言う自分もそうで、スプーンの開発に取り組んだのでカラーロジックについて検討したのですが、改めて自分が過去に購入したスプーンを見るとまったく論理性はなく、本当に過去知見から自分の好みで購入したものばかりでした。

スプーンワレットやプラグケースを見ると、購入したものの使ったことのないカラーのルアーもあるのではないでしょうか?
僕の説明したカラーロジックをもとに、そういう陽の目を見ていないルアーたちをリスペクトして愉しんでみるのも良いかと思います。

「 Feel, think, and fish. 」