開発記 カラーロジック「その1」

エリアトラウトスプーンで釣るための重要な要素は「レンジ」「スピード」「アクション」「カラー」と言われいてす。
スプーンの開発をするようになって、スプーンの泳ぎや魚の反応をよりつぶさに見るようになり、この四つの要素の重要性を改めて感じています。

今回はその中の「カラー」の話になります。ボリュームがあるので複数回に分けて投稿します。


魚の視力や色覚について「TROUT その優れた能力」に僕の調査結果を記していますが、トラウトの眼は人間よりも優れています。
ずっと水の中にいて外敵を逃れつつ餌を探す。そのために進化した、あるいは優れた機能を維持してきたのだと思います。

我々人間は「網膜からの情報を脳みそで判断」して色を認識しています。
身の回りにあるものには色がついているので色は絶対的なモノのように感じるのですが、網膜のセンサーが異なれば色の見え方も異なるということで、個人差もあるように思います。

人間の網膜は赤緑青(RGB)の3色を認識する細胞を持っていて、この情報から脳みそで色を判定する。
かたや魚は、 RGB に加えて人間には見えない紫外線域の色を認識する細胞を持っているそうです。
つまり、魚の色覚は人とは異なり、より優れているということなのですね。


では色とは何か?
色は光の反射です。

可視光線という人間に見える光の色が物体に反射して、網膜で認識して脳みそで着色する。
色は光の波長で決まり、人間に見える可視光線は 380 ~ 780nm 。
波長の短い方から、紫、青、緑、黄、橙、赤、赤紫、の7色が人間に見える光の色です。

この光の波長の7色をベースに明度や彩度が加わって、人は多彩な色を認識しています。
魚は色を認識する細胞が人間よりも一つ多いので、認識できる可視光線は人間よりも広く、7色+α の色に明度と彩度が加わっているはずです。

さて、ここからスプーンのカラーロジックに話を紐づけます。

色は光の反射である、ということは光の状況によって色は変化すると考えます。
我々自身の眼に見える色は変わらないように感じるので、「より強く反射する色が光の状況によって変化する」と考えられます。

太陽は東から上り西に沈む。
朝焼けから、真っ青な空、そして夕焼け。赤から青から赤と光の色は変化しますよね。
光の単位って「カンデラ」「ルーメン」「ルクス」などがありますが、これらは光の強さや照度についての単位になります。

では光の色の単位は?
光の色の単位は「ケルビン」で色温度というものです。

デジカメを使っている人は知っていると思うのですが、ホワイトバランスっていう設定がありますよね。
このホワイトバランスの設定が、すなわち色温度の調整になっています。
ほとんどの人はオートで使っていると思うのですが、ホワイトバランスの設定をいじることで写真の色味を変化させることが出来ます。
デジカメのホワイトバランスは色温度に合わせて色味の設定を変更しているものなのです


僕はこの、「光の波長」と「色温度」に着目してカラーロジックを考えています。

ドイツの物理学者プランクさんの公式から波長と光のエネルギーの関係を導くと、色温度が高いほど短い波長のエネルギーが高く、色温度が低いほど長い波長のエネルギーが高くなります。
このことから僕は、「見やすく目立つ色は色温度の強さによって変化する=色温度によって適したカラーは変化する」と考えています。

色温度は太陽の位置によって変化します。ウィキペディアによると、朝夕は2000ケルビン、昼間は6000ケルビンくらいだそうです。
太陽の高さによって色温度が変化するということは、見やすく目立つ色は時間帯によって変化している、また天候や雲の状態、影の存在も影響するはずです。

このことから僕は、適したカラーは水面に降り注ぐ光の状況によって変化していると捉えていて、「色温度」と「光の波長」という色覚の原理からスプーンのカラーロジックを仮説立てしています。


カラーロジック「その1」はここまでとします。

まとめると、
「魚の色覚は人間よりも優れている」
「色は光の波長である」
「色温度の強さによって、発するエネルギーと光の波長の関係は変化する」

スプーンのカラーロジックを考えるうえで、光の存在は欠かせない要素になると思います。
僕は今回説明した「色温度」と「光の波長」に、もう一つ異なる要素が加わって魚の反応が変化すると考えています。

次回は、そのもう一つの要素について僕の調査結果と考えをまとめます。

「 Feel, think, and fish. 」